今回は「インセル=恋愛を諦めた人」ではなく、婚活を頑張り、出会いを求め、何度も挑戦しているのに報われない人もインセルに含まれるのではないかという説を、言葉の定義・研究・婚活市場の構造から徹底検証します。
【悲報】インセルさん、婚活を頑張っているのに報われない勢も含む説wwwww
「インセル」と聞くと、恋愛を諦めている人、女性に相手にされないと嘆いている人、あるいはネット上で独特の思想を展開する人を想像するオタクくんも多いのではないだろうか。
しかし、ここで素朴な疑問が浮かぶ。
結婚相談所に入会! マッチングアプリに登録! プロフィールを改善! 清潔感をアップ! デートを重ねる! それでも交際に至らない!
こういう人はインセルではないのか?
本人は恋愛や結婚を望んでいる。実現するために行動もしている。しかし、結果が伴わない。
これこそ「非自発的な独身・禁欲」という言葉の意味に、むしろストレートに当てはまるのではないか。
チャッピー先生が先に結論を述べると、婚活を積極的に頑張っているにもかかわらず、望む恋愛関係を築けない人も、広い意味でのインセルの概念に含まれ得る。
ただし、日常語としてのインセルと、特定のオンラインコミュニティに属する人々を指すインセルは、必ずしも同じではない。
この違いを無視すると、話がややこしくなるのである。
第1章:「Involuntary」の意味を考えれば、婚活努力の有無は本質ではない説
まず、言葉の構造を確認しよう。
- Involuntary:非自発的な、不本意な
- Celibate:独身者、禁欲者
- Incel:Involuntary Celibateに由来する略語
ここで重要なのは「Involuntary」、つまり本人の意思に反しているという部分だ。
自分の意思で独身を選んでいる人と、恋愛や性的な関係を望んでいるのに実現できない人では、状況が異なる。
そして後者については、さらに二つのケースが考えられる。
ケースA:そもそも恋愛に向けた行動をしていない
恋愛したい気持ちはあるものの、出会いの場に行かない。異性との交流を避けている。アプローチする機会があっても行動できない。
もちろん、行動しない理由は人それぞれだ。社会不安、過去の失敗、経済的な事情、健康上の問題など、単純に本人の怠慢とは言い切れない。
ケースB:恋愛に向けて努力しているのに報われない
一方、こちらは積極的に行動しているケースだ。
- マッチングアプリで出会いを探している
- 結婚相談所に入会している
- 婚活パーティーに参加している
- 服装や髪型、コミュニケーションを改善している
- 何度断られても新しい出会いを求めている
それでも、交際や結婚に至らない。
この場合、恋愛を望んでいないわけではない。むしろ、望んでいるからこそ努力を続けている。
つまり、非自発的な状態かどうかと、そこから抜け出すために努力しているかどうかは、別の問題なのである。
第2章:学術研究でも、インセルと恋愛上の拒絶・失敗は結びつけて論じられている
ここで、実際の研究を確認してみよう。
2022年に学術誌『Current Psychiatry Reports』に掲載されたレビュー論文「Involuntary Celibacy: A Review of Incel Ideology and Experiences with Dating, Rejection, and Associated Mental Health and Emotional Sequelae」は、インセルの恋愛経験、拒絶経験、心理的な影響などを整理している。
同論文は、インセルと自認する人々について、恋愛上の拒絶や孤独感、抑うつ・不安などの問題が報告されていることを紹介している。
また、出会い系アプリを利用しても、デートや交際などの成果につながりにくい経験が報告されている点も取り上げている。
つまり、研究上もインセルの問題は、単に「恋愛する気がない」という話ではない。
恋愛を望んでいるのに、実際の関係形成がうまくいかないという経験が、重要なテーマになっている。
第3章:実は「インセル」という言葉の歴史も、最初から努力不足を意味していたわけではない
インセルという言葉は、1990年代にAlanaという女性が始めた、恋愛や性的な関係を築くことに苦労している人々のためのウェブサイトに由来する。
当初のコミュニティは、特定の性別だけを対象としたものではなく、恋愛関係を築けない悩みを抱えた人々が交流する場だった。
その後、オンラインコミュニティの変化とともに、インセルという言葉の意味や社会的なイメージも変わっていった。
2021年の研究「The Black Pill: New Technology and the Male Supremacy of Involuntarily Celibate Men」も、インセルという言葉の由来やオンラインコミュニティの変化を論じている。
ここから分かるのは、インセルという言葉の起源と、現在のネット上で連想される特定の思想・コミュニティは、区別して考える必要があるということだ。
したがって、婚活に努力している人を「そんなに頑張っているならインセルではない」と一律に除外するのは、語の由来から考えても妥当とは言い切れない。
参考:Halpin(2021)「The Black Pill: New Technology and the Male Supremacy of Involuntarily Celibate Men」
第4章:婚活を頑張っている人ほど、インセルという概念に当てはまる場合がある?
ここからは、言葉の定義を踏まえた考察である。
婚活を頑張っている人は、恋愛や結婚に対する希望が比較的明確である場合が多い。
そのため、努力を続けても結果が出ない場合には、理想と現実のギャップが大きな苦痛になることもある。
例えば、次のような状況を考えてみよう。
| 状況 | 本人の希望 | 結果 | 非自発的な独身との関係 |
|---|---|---|---|
| 婚活をしていない | 結婚したい | 出会いがない | 理由次第で該当し得る |
| アプリを継続利用 | 交際したい | マッチングしない | 該当し得る |
| デートを重ねる | 交際に進みたい | 毎回断られる | 該当し得る |
| 結婚相談所で活動 | 結婚したい | 成婚に至らない | 該当し得る |
| 独身を積極的に選択 | 独身でいたい | 希望どおり独身 | 通常、この意味では該当しない |
この表で注目したいのは、努力の量と、本人が望む結果を得られているかどうかは別だという点である。
努力しているからといって、非自発的な独身状態ではなくなるわけではない。
むしろ、努力を続けているにもかかわらず状況が変わらない場合、本人が感じる無力感や孤独感が強くなる可能性もある。
ただし、婚活がうまくいかない人すべてがインセルと自認しているわけではないし、本人がそのラベルを望むとも限らない。
したがって、ここでの結論は「婚活を頑張る人は全員インセルだ」ではなく、婚活の努力と、インセルという概念に該当するかどうかは、別の軸で判断すべきだということである。
第5章:「努力しているならインセルではない」という主張は成立するのか?
ここで、反対意見も検討してみよう。
「インセルは恋愛を諦めた人のことであり、積極的に婚活している人は違う」という考え方だ。
この主張には、現在のネット上で使われるインセルという言葉が、特定のオンラインコミュニティや思想を指す場合もあるという背景がある。
その意味で、単に婚活がうまくいかない人をインセルと呼ぶことに抵抗がある人はいるだろう。
しかし、ここでは二つの概念を分ける必要がある。
- 状態:恋愛や性的な関係を望んでいるのに実現できない。
- アイデンティティ・思想:自分をインセルと認識し、特定のコミュニティや世界観と結びつける。
この二つは同じではない。
恋愛を望んでいるのに実現できないという状態にあっても、自分をインセルと呼ばない人はいる。
反対に、自分をインセルと認識する人の中にも、恋愛や交際を実現するために努力を続けている人がいる可能性は十分にある。
したがって、「婚活を頑張っているからインセルではない」という主張は、インセルを特定の思想やコミュニティへの所属という意味で使う場合には成立し得るが、非自発的な独身状態という広い意味では必ずしも成立しない。
第6章:努力が報われない人を笑うのは、そもそも論点が違う説
ここで、もう一段踏み込んで考えたい。
婚活がうまくいかない人に対して、「努力が足りない」「清潔感がない」「コミュニケーション能力が低い」といった説明をすることは簡単だ。
実際、身だしなみやコミュニケーションの改善が、出会いの機会を広げる場合はある。
しかし、それだけですべてが説明できるわけではない。
恋愛や結婚には、相手の意思、相性、生活環境、出会いの機会、経済状況、地域差など、多くの要因が関係する。
本人が努力できる部分はあっても、結果を完全にコントロールすることはできない。
そもそも恋愛や結婚は、資格試験のように一定の点数を取れば必ず合格できる仕組みではない。
自分の行動を改善することと、相手に交際を承諾してもらうことは、同じではないのである。
だからこそ、努力をしても報われないという事実だけから、本人の人格や能力を一方的に評価するのは適切ではない。
もちろん、努力していることを理由に、相手に交際や結婚を求める権利が発生するわけでもない。相手にも相手の意思があるからだ。
努力は尊重されるべきだが、努力の成果を他人に強制することはできない。
この両方を押さえてこそ、婚活が報われない問題を冷静に考えられる。
第7章:最終結論――インセルは「諦めた人」ではなく「望んでも実現できない人」も含む説
ここまでの検証をまとめよう。
| 検証項目 | 判定 |
|---|---|
| 婚活を頑張っている人も広義のインセルに含まれ得るか | YES |
| 努力していると非自発的な独身ではなくなるか | NO |
| 婚活に失敗した人は全員インセルなのか | NO |
| インセルという言葉は特定の思想・コミュニティを意味する場合もあるか | YES |
| 努力不足だけで恋愛の不成立を説明できるか | NO |
結論として、「インセルはめっちゃ婚活を頑張っているけど報われない勢も含む説」は、広義の概念については十分に成立する。
そもそも「非自発的」という言葉は、努力しているかどうかを直接問うものではない。
本人が望んでいるのに、その状態を実現できていないことが問題の中心なのである。
ただし、現代のインセルという言葉には、特定のオンラインコミュニティや思想を指す用法もある。したがって、婚活に苦戦している人を一律にインセル認定することはできない。
そして何より、婚活を頑張っているのに報われない人を、単純に「努力不足」と切り捨てるのも適切ではない。
恋愛は本人の努力だけで完結するものではなく、相手の意思や環境との相互作用によって成立するものだからだ。
インセルとは、努力をしていない人の別名ではない。少なくとも、言葉の本来の意味を考えるなら、努力しているかどうかと、望む関係を実現できているかどうかは分けて考えるべきなのである。
以上、チャッピー先生による「インセルは婚活をめっちゃ頑張ってるけど報われない勢も含む説」の徹底検証でした。