はい、これはかなり**「中高英語でやったアレじゃん!」案件です。
ただし厳密には、単純な「関係代名詞what」だけで処理するより、現代文法では融合関係詞(fused relative)/名詞的関係節**と見ると綺麗に説明できます。Cambridge系の文法資料でも what you can do のような構造が扱われています。
Knock2『No Limit』の「to what you can do」は中高英語でやった関係代名詞だった?徹底検証
結論:かなりそう。
Knock2の「No limit to what you can do, yeah」を見て、英語学習者が、
「あれ? what you can doって中高でやった関係代名詞whatじゃね?」
となるのはほぼ正解である。
ただし、より厳密に説明すると、これは単純な「先行詞+関係代名詞」の関係詞節ではなく、先行詞と関係詞が融合した構造として理解すると非常に分かりやすい。
■ まず問題のフレーズを分解する
対象は、
No limit to what you can do
である。
まずwhat you can doだけ取り出す。
すると、
what + you + can do
という構造。
ここでwhatは「何?」という疑問詞ではない。
この場合は、
「あなたができること」
という名詞相当のまとまりを作っている。
つまり、
what you can do = the thing(s) that you can do
と考えることができる。
古典的な英文法でも、関係代名詞whatは「that which」に相当し、先行詞を内部に含むものとして説明されてきた。
■ 「what=何?」だけで考えると混乱する
日本人英語学習者が最初に引っかかるポイントがここ。
whatには代表的に、
- 疑問詞「何」
- 関係詞的なwhat「~するもの・こと」
という使い方がある。
例えば、
What can you do?
なら、これは疑問文。
「あなたは何ができる?」
一方、
what you can do
なら、文脈によって「あなたができること」という名詞的なまとまりになる。
実際、what you can do は「the thing(s) that you can do」に相当する典型例として説明できる。
■ 「関係代名詞what」の何が特殊なのか
普通の関係代名詞なら、
the thing that you can do
のように、
先行詞+関係代名詞
という形になる。
ところがwhatでは、これが一体化する。
| 通常の関係詞 | what |
|---|---|
| the thing + that | what |
| the things + that | what |
| 先行詞が外にある | 先行詞をwhat自身が含む |
したがって、
what you can do
≒
the thing(s) that you can do
となる。
Cambridge Grammar系では、このように先行詞と関係要素が融合した構造を「fused relative」と呼んでいる。
■ そして本丸「No limit to」のto
ここが今回の一番面白いところ。
to what you can doを一気に見ると難しく感じるが、
No limit to [what you can do]
とカッコを付ければ一瞬で分かる。
toの後ろに、名詞相当のwhat you can doが置かれている。
つまり、
「あなたができること」に対する限界がない
という構造。
直訳寄りにすると、
「あなたができることに限界はない」
となる。
■ 「what you can do」の内部構造を見るとさらに分かる
実はwhatは、doの目的語になっている。
基本形は、
You can do something.
である。
このsomethingの部分を「あなたができるもの・こと」という関係詞的な形にすると、
what you can do
になる。
したがって、
what
↓
you can do ___
↑
whatがここに対応
というイメージ。
「you can do」の後ろには、本来目的語が必要。
その目的語に相当するものをwhatが兼ねている。
■ 中高英語の記憶、ほぼ正しかった説
ここで日本の英語教育に戻る。
学校でよく出てくるのが、
What he said was true.
=「彼が言ったことは本当だった」
という例文。
これと今回の、
what you can do
は基本的に同じタイプだ。
違うのは、文中での役割。
| 英文 | 役割 |
|---|---|
| What he said was true. | 主語 |
| I know what he said. | 目的語 |
| No limit to what you can do. | 前置詞toの後ろ |
つまり、
「あの関係代名詞what、こんなところで出てきてたのか!」
案件なのである。
■ ただし「普通の関係代名詞」と言い切ると少し雑
ここはチャッピー先生から重要な訂正。
学校文法では「関係代名詞what」と教えるのが一般的だが、現代のより専門的な文法では、単純な関係代名詞節というよりfused relative(融合関係詞)として分析する方法がある。
例えば、
I ate what you gave me.
は、
I ate that which you gave me.
に近い。
ただし実際の現代英語ではwhat you gave meが一つの名詞句として機能している、と考えるほうが構造をきれいに説明できる。
■ さらに「what=thing that」と考えると歌詞が完全に解読できる
今回の歌詞を極端に学校英語化すると、
No limit to what you can do.
↓
No limit to the things that you can do.
↓
「あなたができることには限界がない」
となる。
つまりwhat一語の中に「the thing(s)」+「that」のような機能が圧縮されている。
■ ここで「What can you do?」との違いが決定的
| 英文 | 意味 | whatの性格 |
|---|---|---|
| What can you do? | 何ができる? | 疑問詞 |
| what you can do | あなたができること | 融合関係詞 |
語順を見るだけでも分かる。
What can you do?
では疑問文なので、
what → can you do
と助動詞canが前に出る。
一方、
what you can do
では、
what → you can do
という普通の節内部の語順。
したがって、
「whatの後ろが疑問文語順か、普通の語順か」
を見ると判別しやすい。
■ つまりKnock2、英語教材としても地味に優秀
「No Limit」の強烈なEDMサウンドの裏で、英語的には、
No limit to what you can do.
という、学校英語で習った構文が普通に使われている。
しかも、
- limit
- to
- what
- you
- can
- do
という非常に基本的な単語だけで、
「自分ができることには限界がない」
というかなりデカい思想を表現している。
オタクくん的には、
「高校英文法、EDMの歌詞に普通に潜伏してて草」
である。
■ 最終判定
| 説 | 判定 |
|---|---|
| 「what you can do」は中高英語の関係代名詞whatっぽい | ◎ |
| what ≒ the thing(s) that | ◎ |
| whatはdoの目的語に相当する | ◎ |
| toの後ろ全体が名詞相当 | ◎ |
| 専門的には単純な関係代名詞だけでなく「融合関係詞」と説明できる | ◎ |
| 「What can you do?」と同じwhat | × |
■ 結論:「あのwhat、Knock2にいた」
「No limit to what you can do, yeah」を文法的に解剖すると、
what you can do
=
the thing(s) that you can do
という構造。
したがって、ユーザーの記憶している、
「これ中高でやった関係代名詞云々じゃね?」
はかなり正しい。
より専門的には「融合関係詞」と呼べるタイプだが、学校英語の「what=先行詞を含む関係代名詞」という理解でも、この歌詞を読むには十分機能する。
そして何より面白いのは、
No limit to WHAT YOU CAN DO.
という構文そのものが、
「あなたができる“こと”に限界はない」
という「No Limit」の思想を文法レベルで丸ごと表現している点である。
――つまりKnock2、爆音で高校英文法を叩き込んでくる。
EDM、実質英文法教材説。