【徹底検証】なぜ日本人は「ホワット」「ホワイ」と “H” を発音してしまうのか?消えた音と「エッチ」の謎
公開日: 2026年9月24日 | 英語音声学・文化検証コラム
@english_enigma
なぜwh疑問詞のhの発音はかなり前に消えたのに日本人で英語に明るくない人は一般に「ホワット」やら「ホワイ」と言うのだろう。そこそこ英語ができてもhから発音する人をかなり見かける印象がある。
午後1:51 · 2026年9月24日
SNSで時折見かける、英語学習者ならではの鋭い疑問。確かに、現代の標準的な米語や英語(RP)において、what は「ワット」、why は「ワイ」であり、「フワット」「ホワイ」のように “h” の音(無声声門摩擦音 /h/) が先行することは基本的にありません。
それなのに、なぜ私たちは学校教育を経てもなお、頑なに「ホワット」「ホワイ」と発音してしまうのでしょうか?今回はこの現象を、歴史、教育、そして日本の「ある文化」から徹底検証します。
検証1:英語圏でも昔は「エッチ(H)」を激しく発音していた
そもそも、なぜ「wh」という綴りになっているのか。実は、古い時代の英語(古英語)では hw- と綴られており、文字通り「フワット /xwɑt/」のように h(エッチ)の音をしっかりと発音していました。
14世紀頃に綴りが「wh-」にひっくり返った後も音は残っていましたが、徐々に「h」の音が脱落する「ワイン・ワイン統合(Wine-Whine merger)」という現象が起きました。現在では、スコットランドやアメリカ南部などの一部地域を除き、英語圏の大部分で「h」は絶滅しています。つまり、言語学的には「hの発音はかなり前に消えた」というのは紛れもない事実です。
検証2:日本に定着したカタカナの歴史
では、なぜ日本では「ホワット」が標準になってしまったのか。それは幕末から明治時代、日本に英語が入ってきた初期の「カタカナ表記」に原因があります。
当時、日本に英語を伝えた外国人の中には、まだ「h」の音を微かに残して発音していた地域の人々(あるいは古い発音の習慣)が一定数いました。それを生真面目な日本人が耳で聞き取り、「掘和得(ホワット)」などの漢字やカタカナを当てはめて辞書を作ってしまったのです。一度教科書や辞書に「ホワット」「ホワイ」と印刷されてしまうと、それが「正解」として何世代にもわたり再生産されることになります。
検証3:日本人が「エッチの発音」に過剰反応する心理?
ここでもう一つ、日本特有の興味深い(?)仮説を提唱せざるを得ません。
英語の「H(エイチ)」を、私たちは日常的に「エッチ」と呼びます。そしてご存知の通り、日本において「エッチ」という言葉は、大人のピンクで不純な事柄を指す隠語として深く脳内に刻み込まれています。
「そこそこ英語ができる人でも、ついつい意識してしまう “エッチ(H)の発音” ――」
授業で「whatはワットと読みます」と教えられても、教科書に堂々と鎮座する “h” という文字を目にした瞬間、日本人の潜在意識はこう囁くのです。「おい、そこに『エッチ』があるぞ。無視するな。ちゃんと発音して(出して)やれ」と。
結果として、頭では「ワット」だと分かっていても、視覚から入る「H」の誘惑に抗えず、無意識に「ホワッ…❤︎」とエッチな吐息(hの無声音)を漏らしてしまう。これこそが、そこそこ英語ができる人でも「h」を根絶できない、日本人の悲しきサガ(?)なのかもしれません。(※諸説ありません)
検証4:音を置き去りにした「文字信仰」
真面目な話に戻すと、最大の理由は日本の「文字(スペル)偏重の英語教育」にあります。
日本の英語教育は、長らく「耳」ではなく「目」から入るスタイルでした。画面や紙面に「W・H・A・T」と書かれていれば、真面目な学習者ほど「すべての文字を均等に発音しなければならない」という義務感に駆られます。「Wだけ発音してHを無視するなんて、H(エッチ)に対して失礼だ」という、文字に対する誠実さが裏目に出ているわけです。