もちろんです。今回は「告白=確認作業」という恋愛論を、情報の非対称性・探索コスト・期待効用・ベイズ更新でガチガチに数理モデル化しつつ、「じゃあ無限告白が合理的なのか?」まで潰す構成にします。
【数理検証】敵「告白は確認作業」オタクくん「情報の非対称性!告白しまくる方が合理的という研究が!」はい論破説
敵「告白なんて確認作業でしょ」
――この一言に対して、オタクくんが突然「情報の非対称性!」と叫び始めた。
さらにオタクくん曰く、恋愛においては「相手が自分をどう評価しているか」という情報が完全には観測できない以上、告白という情報獲得行動を繰り返すことには合理性があるという。
果たしてこれは単なる恋愛脳による後付け理論なのか。
それとも数学的に見ると、意外にも筋が通っているのか。
チャッピー先生、ここで恋愛を情報経済学+意思決定理論としてモデル化してみよう。
■ 結論:告白は「確認作業」であると同時に「情報取得行動」でもある
まず結論から。
「告白=確認作業」という説明は、一定の条件では正しい。
しかし、それだけでは不十分である。
なぜなら告白には、
- 自分の意思を伝える
- 相手の意思を確認する
- 相手の自分に対する評価について情報を得る
- 曖昧な関係を終了・進展させる
という複数の機能があるからだ。
特に重要なのが「情報の非対称性」である。
自分は自分の気持ちを知っている。
しかし、相手の気持ちは知らない。
逆もまた同じ。
つまり恋愛関係は、極めて典型的な不完全情報ゲームなのである。
■ 1.恋愛には「情報の非対称性」が存在する
例えば、相手が自分を好きである確率を
p = P(L)
とする。
ここでLは「相手が自分に恋愛感情を持っている」という事象である。
問題は、このpを直接観測できないことだ。
相手の言動、LINE、会話、デート、視線などから推定するしかない。
つまりオタクくんは、
「相手の内心という観測不能な変数を、観測可能なシグナルから推定している」
のである。
これは数学的にはベイズ推論として書ける。
例えば、相手の行動Xを観測した後の「好きである確率」は、
P(L|X)
となる。
そして告白という新しい情報を得れば、さらに事後確率が更新される。
つまり、
事前確率 → 観測 → 事後確率
という流れが発生する。
恋愛、突然ベイズ統計になる。
■ 2.「告白は確認作業」説を数式化するとこうなる
告白によって相手からYES/NOというシグナルを得るとする。
すると告白前には、
p = P(相手が自分を好き)
だったものが、告白後には
P(L|YES)
あるいは
P(L|NO)
へと更新される。
しかも通常、直接的な告白への返答は、普段のLINEや態度よりも情報量が大きい。
したがって告白には、単なる「関係開始イベント」だけではなく、
情報獲得装置
としての側面がある。
ここで敵の「確認作業」という表現が出てくる。
確かに、
「好きかどうか分からないから聞いてみる」
のであれば、これは文字通り確認である。
しかし数学的には、より正確には「不確実性を減少させる情報取得」と表現した方がよい。
■ 3.情報価値を入れると「告白すること自体」に経済的価値が生まれる
意思決定理論では、情報には価値がある。
仮に現在の恋愛状態について不確実性が大きいとする。
このとき告白によってYES/NOが分かれば、次に取るべき行動を決めやすくなる。
例えば、
- YES → 交際へ
- NO → 別の相手を探す
- 保留 → 追加情報を集める
という具合である。
つまり告白には、
「恋愛そのものの期待利益」+「情報を得ることによる価値」
が存在する。
これを単純化すると、告白の期待効用は
EU(confess) = 恋愛上の期待利益 + 情報価値 − 告白コスト
と考えられる。
ここで告白コストには、
- 拒絶される心理的コスト
- 関係が気まずくなるコスト
- 時間
- 精神的負担
などが含まれる。
したがって、
情報価値 > 告白コスト
なら告白する合理性が生まれる。
■ 4.では「ひたすら告白する」のが合理的なのか?
ここでオタクくんが調子に乗る。
オタクくん「情報を得られるなら、どんどん告白すればよくね?」
――これは半分正しいが、半分間違いである。
なぜなら情報には限界効用逓減があるからだ。
最初の告白には大きな情報価値がある。
しかし同じ相手に何度も告白しても、新しい情報がほとんど増えない。
例えば、
1回目:「付き合ってください」→ NO
なら、相手が現時点では交際を望んでいないという非常に大きな情報が得られる。
しかし、
2回目:「もう一回付き合ってください」→ NO
となった場合、追加情報はかなり小さい。
さらに3回目、4回目……となれば、
情報利得は減少し、コストは累積する。
したがって、
「告白は合理的」≠「無限回告白するのが合理的」
である。
■ 5.「告白しまくる」戦略が合理的になる条件
一方で、対象を変えながら告白する場合は話が変わる。
例えば100人の候補者がいて、それぞれについて自分との相性が未知だとする。
各候補者に対して、
「告白しなければ相手の意思は完全には分からない」
という状況なら、一定条件では探索を続けることに合理性がある。
これは恋愛を探索問題(search problem)として見る発想である。
簡単なモデルなら、
期待利益 = 成功確率 × 成功時の利益 − 失敗確率 × 失敗コスト
となる。
成功確率が低くても、
失敗コストが低く、試行回数を増やせる
なら、探索を続ける合理性は高まる。
これは「数撃ちゃ当たる」という雑な格言を、かなり真面目に数学化したものでもある。
■ 6.ただし「告白」は完全なランダム試行ではない
ここが重要である。
恋愛では普通、誰彼構わず完全ランダムに告白しているわけではない。
会話、趣味、外見、価値観、相性、過去の交流などから、ある程度候補を選んでいる。
つまり実際には、
探索 → 情報収集 → 候補選択 → 告白 → 結果観測 → 学習
というループになっている。
これは機械学習っぽく表現すると、
観測 → 更新 → 行動 → 新しい観測
というフィードバックシステムである。
したがって、恋愛経験とは単純な「成功回数」だけではなく、
自分の選好・相手の反応・自分と相性の良い属性についての情報を蓄積する過程
とも解釈できる。
■ 7.「告白=確認作業」には一つ重大な弱点がある
それは、告白そのものが相手の意思決定を変えてしまうことである。
これは非常に重要だ。
観測するだけなら、相手の状態は変わらない。
しかし告白すると、
「あなたのことが好きです」
という新しい情報を相手に与える。
すると相手は、その情報を使って意思決定する。
つまり告白は、
観測ではなく介入
でもある。
これは科学実験に例えるなら、温度計を置いて温度を測るだけではなく、測定装置そのものが対象に作用してしまうようなものだ。
したがって「告白によって相手の本当の気持ちを測定した」と単純に解釈することはできない。
■ 8.告白前の「好き」と告白後の「付き合いたい」は同じ変数ではない
さらに恋愛を数理モデル化すると、ここも重要になる。
相手が、
「あなたに好意を持っている」
ことと、
「あなたと交際したい」
ことは同一ではない。
例えば、
- 好意はある
- しかし交際する気はない
- 友達として好き
- 今は恋愛する余裕がない
- 相手から告白されて初めて恋愛対象として意識する
など、状態空間は複数存在する。
したがって単純な二値モデル
好き/嫌い
では、恋愛の意思決定を十分に表現できない。
より現実的には、
S = {友人、好意あり、恋愛対象、交際意思あり、交際不可……}
のような多状態モデルになる。
■ 9.ここで「告白は確認作業」説をアップデートする
以上を踏まえると、敵の命題はこう修正するとかなり強くなる。
旧:
「告白は確認作業である」
新:
「告白は、相手の意思を確認すると同時に、自分と相手の意思決定を変化させる情報交換・介入行為である」
こうなる。
これなら情報経済学的にもかなり整合的である。
■ 10.オタクくんの「情報の非対称性!」はどこまで正しいのか
判定すると、
| オタクくんの主張 | 数理的評価 |
|---|---|
| 相手の気持ちは直接観測できない | ○ |
| 告白によって情報を得られる | ○ |
| 告白には情報価値がある | ○ |
| だから告白を繰り返すほど合理的 | △ |
| 同じ相手への無限告白が合理的 | × |
| 相手を変えながら探索する戦略には合理性があり得る | ○ |
つまりオタクくんは、
「情報の非対称性」という武器を持っていること自体は正しい。
ただし、その武器から「だから無限告白!」まで推論すると論理が飛躍する。
■ 11.数理的に最も重要なのは「限界情報価値」である
告白をn回行ったときの情報価値をV(n)、コストをC(n)とする。
すると、追加で告白する合理性は、
ΔV/Δn > ΔC/Δn
で判断できる。
つまり、
「次の1回の告白から得られる情報価値が、その1回にかかるコストを上回るか?」
という問題になる。
これこそが合理的意思決定である。
そして通常、同じ相手に対する反復告白ではΔVが小さくなりやすい。
一方で心理的・社会的コストは累積する。
したがって限界条件を超えれば、
「もう情報収集をやめて次の探索へ移る」
という選択が合理的になる。
■ 12.最終的に「告白」は何なのか?
数理学的には、告白は一つの機能だけを持つ行為ではない。
告白 ≒
- 意思表示
- 情報取得
- 不確実性の削減
- 相手への介入
- 関係状態の遷移
- 探索行動
という複合的なイベントである。
したがって、
「告白は確認作業」
は完全な間違いではない。
しかし、
「告白はただの確認作業」
まで言ってしまうと、情報理論的には情報を落としすぎている。
■ Q.E.D.……ではなく「条件付きQ.E.D.」
最終判定。
敵「告白は確認作業」
→ 概ね正しいが、モデルとしては単純化しすぎ。
オタクくん「情報の非対称性だから告白には情報価値がある!」
→ 数理的にはかなり筋が通っている。
しかし、
「情報価値がある」
から
「ひたすら告白すればよい」
は導けない。
なぜなら、
情報価値には限界があり、告白コストは存在し、しかも告白自体が相手の意思決定に介入する
からである。
したがって最終式は、
合理的告白条件 ≒ 限界情報価値 + 期待恋愛利益 > 限界コスト
となる。
――ということでオタクくん、
「告白は確認作業」
に対して
「情報の非対称性!」
と返したところまでは、かなり良い。
ただし最後に、
「だから無限告白!俺は合理的!」
まで行った瞬間、
限界効用逓減という数学の鉄槌
を食らう。
恋愛とは、意外にもベイズ推論+探索問題+ゲーム理論+意思決定理論だったのである。
オタクくん、情報の非対称性を発見するも限界効用に敗北。
Q.E.D.……ではなく、条件付きQ.E.D.。