もちろんです。今回は前回の「gross=キモい」に加えて、実は gross には「太い・大きい・太った」という意味が語源レベルから普通に存在するという、かなり強い説として検証できます。
「gross」は実は「デブ」を内包している!?――「大きい・太い」から「キモい」までを一語に抱え込む英単語を徹底検証
英語の gross といえば、日本人には「キモい」「うわ、グロい」という意味がまず思い浮かぶ。
しかし辞書を調べると、なんと 「太った」「非常に太っている」「大きくてずんぐりした」という意味まで存在する。
では「gross=デブを内包している」は単なるネタなのか?
結論から言えば、かなりガチである。
結論:「gross」は歴史的にも現代英語でも「デブ」を内包している
今回の説は、かなり高い確度で成立する。
現代の辞書には gross の形容詞として、
「非常に太った」「太っていて大きい」という意味が実際に掲載されている。
Dictionary.com は gross に「extremely or excessively fat」という意味を掲載しており、
Oxford も「very fat and ugly」という用法を記載している。
さらに語源を遡ると、話はもっと面白くなる。
gross の祖先である Old French gros は「大きい・厚い・太い」などを意味していた。
さらに Late Latin grossus の「厚い・粗い」へと遡る。
つまり「デブ」という意味は、現代になって突然追加された偶然の意味ではない。
「大きい・厚い・太い」という意味が、grossという語のかなり古い層に存在している。
まず語源を一本の線にするとこうなる
Latin grossus
「厚い・粗い」
↓
Old French gros
「大きい・厚い・太い」
↓
Middle English gross
「大きい・厚い・がっしりした」
↓
「粗野・粗雑」
↓
「下品・ひどい」
↓
「不快・気持ち悪い」
Etymonline は gross の古い意味として「large」「thick」「coarse」などを挙げ、
Old French gros には「big, thick, fat」などの意味があったとしている。
Merriam-Webster も、英語の gross の語源について、
Anglo-French gros, grosse の「large, great, fat, pregnant」などを挙げている。
したがって、
「grossの原義周辺に“太い・大きい・太った”という意味が存在する」
という点は、かなり明確である。
現代英語でも「gross=太っている」は普通に辞書に残っている
ここが本説最大の強みである。
「昔はそういう意味だった」というだけなら、単なる語源ウンチクで終わる。
ところが 現代英語の辞書にも「太っている」という意味が残っている。
| 意味 | ざっくり日本語 |
|---|---|
| large | 大きい |
| big / bulky | 大きい・かさばる |
| fat | 太った |
| coarse | 粗い・粗野な |
| vulgar | 下品な |
| disgusting | 不快な・キモい |
Collins でも gross は「big or fat and coarse-looking」「corpulent」「obese」といった意味を持つと説明されている。
つまり、
gross → デカい → 太い → 太った → キモい
という連想は、単なる日本人による勝手な語呂合わせではない。
では「gross=デブ」は「fat」と同義なのか?
ここは注意が必要だ。
gross と fat は完全な同義語ではない。
fat は「身体に肉が多く、体重が多い」という非常に直接的な語である。
一方 gross の「太った」という意味には、
単に体脂肪が多いというだけでなく、
「大きい」「ずんぐりしている」「太っていて粗野に見える」
というニュアンスが入りやすい。
つまり、
fat=太っているという身体的状態
gross=大きい・太い・ずんぐりしていて、そこに粗野・不快という評価が乗りうる
と整理するとわかりやすい。
「デブ」と「キモい」が同じ単語に入っているのが面白い
今回の説の最大の面白ポイントはここだ。
日本語では普通、
太っている と 気持ち悪い
は別々の形容詞である。
ところが英語の gross では、
「大きい・太い」
↓
「太った」
↓
「粗野・下品」
↓
「不快・キモい」
という意味領域が一つの単語に重なっている。
もちろん、
「太っている人=キモい」
という意味ではない。
これはあくまで英単語の歴史的な意味の広がりについての話である。
「gross」の意味変化はかなり壮大だった
Etymonlineによれば、英語 gross の意味は、
「大きい・厚い」から「粗い」方向へ進み、
さらに「鈍い」「粗野」「下品」などの意味へ広がっていった。
そして現代的な「キモい・気持ち悪い」という意味は、20世紀半ばのアメリカ英語の学生スラングとして記録されている。
つまり、ざっくり言えば、
物理的に「太い」
↓
「粗い」
↓
「粗野」
↓
「下品」
↓
「ひどい」
↓
「気持ち悪い」
という「物理的な粗さ」から「評価としての不快さ」への意味拡張が起きたと考えられる。
さらに「gross=太い」は「gross income」のgrossと同じ語なのか?
ここも英単語として面白いところだ。
gross income の gross は「税金などを差し引く前の総額」という意味で、
「太った」という意味とは現代の用法ではまったく違う。Oxfordも gross を「差し引き前の総額」と説明している。
しかし歴史的には同じ語の意味の枝から生まれている。
「細部を考えず全体をまとめて」という方向から、
「全体」「総量」「総額」
という意味も発達したとされる。
したがって gross には、
- 大きい
- 太い
- 太った
- 粗い
- 粗野
- 下品
- ひどい
- キモい
- 総量
- 総額
という一見すると「なんで同じ単語なんだよ」と言いたくなる意味群が存在する。
「gross=デブを内包」はどこまで正しい?
| 主張 | 評価 |
|---|---|
| grossには「太った」という意味がある | ◎ 事実 |
| grossの語源には「大きい・厚い・太い」がある | ◎ 事実 |
| grossは現代でも「非常に太った」という意味で使える | ◎ 辞書に掲載 |
| gross=fatと完全に同義 | △ 文脈依存 |
| grossの「キモい」は「太った」から直接生まれた | △ 単純化しすぎ |
| grossという単語は「太い・大きい」と「不快」の両方を内包する | ◎ かなり妥当 |
そして前回の「グロい=gross説」と接続すると……
ここで前回の話がさらに面白くなる。
日本語の「グロい」は基本的に「グロテスク」由来と考えるのが自然だが、
英語 gross にも「キモい」という意味がある。
しかも今回判明したように、その gross にはさらに、
「大きい・太い・太った」
という意味まで存在する。
grotesque
↓
グロテスク
↓
グロ
↓
グロい
gross
↓
large / thick / fat
↓
coarse / vulgar
↓
disgusting
↓
「キモい」
つまり、
「グロい」と「gross」は語源的には別ルートなのに、意味の一部が恐ろしく近い。
そして gross の内部では、
「太い・大きい」と「キモい」まで同じ語の中に同居している。
最終結論:grossは「デブを内包している」どころか「太い→粗い→キモい」の歴史を持つ
今回の「grossはデブを内包している説」は、ネタとして提出されたにもかかわらず、
辞書・語源の両面からかなり強固に支持できる。
現代辞書には「非常に太った」という意味が明記され、
語源を遡っても gros / grossus には
「大きい・厚い・太い」という意味が確認できる。
したがって、最終的にはこうなる。
gross
= 大きい
+ 厚い
+ 太い
+ 太った
+ 粗い
+ 下品
+ 不快
+ キモい
もちろん「gross」という単語を見た瞬間に必ず「デブ」という意味になるわけではない。
gross income なら「税込み・控除前の総額」など、文脈によって意味は大きく変わる。
しかし語彙史まで含めて考えるなら、
「grossはデブを内包している」はかなり正しい。
むしろ驚くべきなのは、
「太い・大きい」→「粗い」→「下品」→「不快」
という意味の連鎖を経て、
現代の「うわ、キモッ!」にまで到達していることである。
つまり gross、身も蓋もなく超訳するなら――
「デカい・太い」から始まって、最終的に「キモい」まで行った単語
なので今回の説の判定は、
「grossはデブを内包している」――判定:ほぼYES。
しかもこれは単なる語呂合わせではなく、語源的にも辞書的にも裏付けがある「かなり強いネタ」なのである。